北九州市は和菓子ロード?!

北九州市に引っ越して来て4年が経った。
小さいときから「湖月堂の栗饅頭~~」というCMソングは知っていたが、
その湖月堂が北九州市で誕生した菓子メーカーだと知ったのは
結構あとになってからだった。

魚町のアーケードの中に湖月堂の本店があって、
併設の喫茶は広々としていてとても心地よい。
季節を織り込んだ松花堂弁当やスパゲティ、もちろん甘味も頂くことができる。
あんこたっぷりの白玉ぜんざいは絶品だ。

この一帯には湖月堂のほかにも魅惑の甘味処が多々あり、
「和菓子ロード」でもあるのだ。

引っ越してきた当初は北九州の街に「辻利」があることに驚いたものだ。
(京都の辻利とは親戚関係のようだ)

今では小倉市街だけで4店舗。
昨年、小倉城下「しろテラス」に辻利茶舗の茶屋が出来たときは、
なんともぴったり過ぎでニヤついた。

こんなにもお茶屋が市民の側にあるなんて、なんとも正しい。
北九州は本当にいい街だなと感じる。

そんな辻利茶舗にも甘味処があって、
私が注文するのは決まってバニラフロートだ。
抹茶のフローズンドリンクの上に少し黄色味がかったソフトクリームが
どっしりと乗っている。

テイクアウトもできるので、
暑い日なんかは、キンキンに冷えた抹茶フローズンをぐいぐい飲みながら、
ソフトクリームを食べつつ、歩く。
透明のプラスチックカップに入ったクイック感。
抹茶のオフスタイルとでも言おうか。
これは店内ではなく、ぜひ歩きながら飲んでほしい。
どこかの抹茶フラペチーノより、実にかっこいいじゃないか。
老舗お茶屋のほんまもんの抹茶なんだもん。

また、老舗の茶屋なのに、小倉のフォトジェニックソフトクリーム屋のHold By Handとコラボ商品を出した。
時代にどんどん乗って行く感じも素敵だ。
お茶が「流行」を作っていく姿は、いつの時代でもおしゃれなのかもしれない。

銀天街に戻り、旦過市場方面へ真っ直ぐ進んだら
ローソンが見えてくるのだが、そこの脇道を少し入ると、
長細い暖簾が掛かった、甘味処 桝屋がある。

入り口のガラスケースに行儀良く並んだ餅菓子がいつでも出迎えてくれる。
こちらのお店は小倉生まれの義父母に教えてもらって以来、私のお気に入りの場所となった。

餅菓子は何を食べても上品な甘さで、とくに水大福はつるんとした皮が美味。
小さめのおはぎは一個90円。ちょっと甘い物が食べたいときに、
ちょうど良い大きさなのであるが、
あれもこれもと、つい買いすぎてしまう。

暖簾の奥の甘味処では、このおはぎを食べることもできる。
かき氷も人気なのだが、ここはあえてミルクセーキを注文。
ミルクセーキって響きだけで、もう気持ちが何だかワクワクしてくる。
何度も言いたくなる、ミルクセーキ、ミルクセーキ。
上品なルックスに、程よい甘さ。
和菓子屋で頂くミルクセーキはノスタルジックでとても優しい気持ちになった。

今ではすっかり姿を消しつつあるが、北九州の屋台ではおでんと一緒におはぎが食べられる。
引っ越してきたとき、お酒は無いのにおはぎがあることに衝撃を受けたものだ。
北九州市民のソウルフード、資さんうどんでは、ぼた餅が人気なのはいうまでもない。

鎖国時代、出島から持ち込まれた砂糖が長崎街道を通って江戸へと運ばれた。
長崎街道は「シュガーロード」とも呼ばれ、街道沿いの地域では
砂糖や外国由来の菓子が特に発達したといわれている。

砂糖がここ北九州の街にもしっかりと文化として根付いてくれたということだ。
和菓子はもはや北九州市の食文化のひとつなのかもしれない。

和菓子を通して、長崎街道の軌跡が見える気がする。

(作・白石 絵さん)

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