うどんを食べなから

「うどんは好き?」 初めてできた彼氏に連れてってもらったのは、資さんうどんだった。

それから、お互いのアルバイトの終わりにお店で待ち合わせ、帰りは彼のバイクの後ろに乗るのが日曜日の定番になった。
彼が地元で就職し、遠距離になっても、私はアルバイトの帰りに1人で資さんうどんに行っていた。
今日は、随分と遠くの勤務地だったよ、お店の担当者さんはお喋りな方だったよ、などをメールにつらつら書きながら。

私も県外に就職したことで北九州を離れ、遠距離からお互いにマリッジブルーになって終わった恋愛のせいなのか、資さんうどんとは疎遠になってしまった。

しかし、ひょんなことから、また資さんうどんに通うようになる。
きっかけは、応援しているバンドのファン同士で「ライブの終わりに、うどんを食べに行こう!」 となったことだった。
特に私から恋愛の昔話をするのでもなく、 「今日もギターボーカルはかっこよかったね!」 「ベーシストも素敵!」 「ドラマーには、ずっと笑ったわ!」 と、お互いにライブの感想を語るばかり。

やがて、こんな美味しいうどんなのにしばらく行かなかったのは何故だろう、という失恋よりもうどんの味の記憶になってしまったのだった。

山口や大分が近い北九州は、誰かと待ち合わせになる場所だと思います。

好きな人が替わっても、うどんを食べながら「美味しいね!」 と言える相手がいることは、幸せなのかもしれません。

でも、1人でも美味いっちゃん。

(作:もりもりずむさん)

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